クーン編 指輪考察(その2)

指輪の持ち主の 願い と 欲望

前回からのつづき
 

策士の指輪

持ち主は、オウミのニセ領主(妖魔)です。
 
良いパワーは、……特にこれといって見当たりませんが、オウミ領主になりすまし、まんまと館の乗っ取りに成功していること自体が指輪の力によるものかもしれません。
策士の指輪には混乱効果がありますし、これで住民を騙し、バレないようにしているのだと思います。
 
悪いパワーは、ノーマッドと同じく指輪を集めようとしていること。指輪の意志に操られている可能性があります。
 
また、このニセ領主は結果的にですが、
「この女(メイレン)に気をつけるんだな。指輪を狙ってる奴に、ロクなのはいないぜ!」
という、後のメイレンの裏切りを示唆するようなセリフを残しています。
もしかすると、このニセ領主自身にも“指輪に操られている”という自覚があったのかもしれません。
  妖魔は精神攻撃に対する抵抗力が高い種族ですからね。
  上級妖魔のように無効化まではできないものの、指輪の魔力には気付いていた、……かも?
 
 

勇気の指輪

持ち主は、バカラのギャンブラー(後に破産)です。
 
良いパワーは、……特にこれといって見当たりません。クーンたちに出会ったときは既に破産して絶望的な状況にあったので、彼にどんな恩恵があったかはゲーム中では確認できません。
しかし邪推すれば、恐らく最初のうちは指輪のパワーでギャンブル運も良かったのでしょうね。最初に勝ってしまったからこそ、破産するまでのめり込んでしまった、という筋書きなのかも。
 
悪いパワーは、当然、ギャンブルにのめり込み破産してしまったこと。
「もっと勝ちたい。もっと儲けたい」という“欲望”を煽られた可能性があります。
言ってみれば『大博打に挑戦する勇気』を植えつけられたのかもしれません。 (上手いこと言った!w
 
 

隠者の指輪

持ち主は、ディスペアの所長(所長であると同時に囚人でもある。刑期100万年の男)です。
 
彼の場合は、ゲームの企画段階から「所長であると同時に囚人でもある」という設定が先行して作られたキャラです。
そのため、何の罪で100万年なのか、そしてなぜそんな男が所長を兼任できるのかなど細かい設定はなく、“そういうキャラがいると面白い”的なノリだけで生まれたキャラだったりします。
 
ですから、恐らく彼が囚人や所長である件は「指輪」の設定とは無関係。
そもそもクーン編に登場する他の指輪所持者に比べて、彼のイベントだけがどことなく異質です。
  指輪と関連する設定や会話がほとんどなく、ディスペアを突破すればすぐイベント終了。
  またクーンたちに指輪をくれる際にも、かなりあっさりと指輪を手放します。
    他の指輪所持者に見られたような、指輪に対する執着心・関連性が非常に薄いのです。
これも恐らくは、彼がもともと「所長兼囚人」という設定のみが先行し、指輪とは無関係な場所から生まれたキャラだからなのでしょう。
 
まぁ、後付け的に考えれば、彼が100万年もの刑をくらい、また同時に所長としてディスペアを支配できていることが指輪の力だと言えなくもないですが。……やっぱり後付けですねw
 
 

生命の指輪

持ち主は、富豪の娘(病魔モールに取り憑かれている)です。
 
良いパワーは、メイレンの推測なので確定的ではないものの、「指輪の力が病気の進行を食い止め、娘の命を繋ぎとめている」ようです。
指輪の名前も「生命の」なので、メイレンの推測は恐らく間違っていないでしょう。
 
悪いパワーは、特に見当たらないようにも思いますが、もしかしたら病魔モールを呼び寄せていること自体が指輪の魔力なのかもしれません。いわゆる自作自演です。
 
富豪の娘はもとはアニーの実の妹なのですが、アニーはそのことについて「妹は養子が決まったから良いんだけど、弟の方は悪ガキで――」と、特に妹の健康状態については心配している様子がありません。「養子が決まった=妹は安心」だとアニーが思っているということは、アニーの手元にいるころはまだ妹も元気だったということでしょう。
つまり、妹が病魔に取り憑かれたのは富豪の家に養子入りしてからのことだと推測できます。
 
恐らく指輪はもともとは富豪の家にあったものでしょう。
そして時系列的に考えて、養子入りした直後に病を発しているのですから、この指輪が娘の病気に何らかの関与をしている可能性は少なくありません。
 
一方、病魔モールを退治したあとは、娘は非常にあっさりと指輪を手放しています。
マーグメルの長老やクーンなどと同様、邪な気持ちの少ない人物は指輪に対する執着心など精神的な影響を受けにくいようです。
 
 

戦士の指輪

持ち主は、済王(太古の王。アンデットとして復活)です。
 
良いパワーは、彼が生前、偉大な王としてシュライクに君臨できたことでしょう。
シュライクの本屋にある歴史書には、
 「武王は武力による全土統一を推し進め、シュライクの大部分を支配し――」
 「王朝が最盛を極めたのは済王の代。彼は近隣のリージョンまで支配を拡大し――」
 「済王の死により王朝は崩壊した」
 「済王の外征は“指輪の説話”として多く語られる」
といった記述を見ることができます。
指輪が「戦士の」という名称であり、また攻撃力UPの効果があることからも、済王の勢力拡大に指輪が貢献したのは想像にかたくありません。
 
悪いパワーは、……特に見当たりませんね。
済王が死後にアンデット化してしまったことに関係あるのかもしれませんが、推測の域を出ません。
 
また、指輪をクーンに渡した後も、彼は「指輪の行方が気になる」といってパーティについてきます。
少なからず指輪への執着心があったのかもしれませんが……、これも推測の域を出ませんね^^;
  不死系モンスターは精神攻撃を受け付けませんし、言葉どおり単なる責任感だとも考えられます。
 
 

神秘の指輪

持ち主は、ヴァジュイール(妖魔の君)です。
 
彼の場合、指輪に魅せられたというより、指輪を使って遊んでいる感じがありますw
他の所持者が指輪の魔力に翻弄されているのに比べ、彼は一段高い位置にいます。
 
もともと妖魔は精神的な攻撃を受け付けませんから、指輪の力に支配されることもなかったのでしょう。
しかも彼は妖魔の中でも最上級に位置する「妖魔の君」。さらに妖魔には「他人に無関心」「あるがままを愛す美意識」「美しいは正義」といった独特の価値観があります。
そんな彼に指輪の力を使ってまで叶えたいことがあるとは思えません。
  指輪を使わなくても大抵のことは彼自身の力でできるし、自分の力以上の何かを求める(=努力・
  向
上心)ような気持ちを持たないのが妖魔というものです。
 
まぁ、もしかしたら指輪の力があったからこそ妖魔の君になれた?、とも考えられなくもないのですが、
さすがにそんな上っ面にメッキしたようなパワーでは妖魔の君は名乗れないと思いますね^^;
 
ただ、ヴァジュイール宮殿の「商人の間」とかのおふざけっぷりはヒドイw
あれはある意味で指輪の魔力にヤラれちゃってると言っても過言ではありません。
  それにしてもこの妖魔の君、ノリノリである。 (世界まる見え風のナレーションで
 

ブルー編の地獄 と 指輪の関係

ブルー編のラストダンジョンである『地獄』は、実は指輪によって作られたものという設定があります。
 
あの空間は太古の昔に、クーン編に登場する“指輪”の力を使って、
マジックキングダムが作りだしたものなんです。
本当は天国のようなところを作りたかったけれど、
見た目だけ天国で中身は地獄のようなところができてしまった。
それで、地下に封印しているわけですね。
(ディレクター河津氏のコメント)
 
願いを叶える力と、そこから不幸と欲望を生み出す力。 確かに指輪っぽい内容ですね。
 

地獄を作った指輪は、どの指輪?

地獄を作るのに使われた指輪はどの指輪でしょうか?
 
1つのリージョンを作り出してしまうくらいですから、かなりスケールの大きな話です。
 
最初、私は名前的に考えて「神秘の指輪」かなと思いました。
「神秘の」って名前が付くくらいだから、かなり奇跡的なこともできるんじゃないかと。
  「神秘の」は持ち主がアレなので、実際どの程度の魔力があるかゲーム中では未知数ですしねw
 
しかしそれにしたってやはり地獄を作ってしまうのはスケールが大き過ぎます。
あくまで「神秘の」は9個の兄弟指輪の1つに過ぎませんから、いくら名前が「神秘」でもさすがに他の指輪とケタ外れなパワーはないんじゃないかとも考えられます。
 
そこで、やはり一番候補として相応しいのは『黒の指輪』でしょう。
兄弟指輪が集めてきた欲望エネルギーを全て使って作られたのだとしたら、
あの地獄という空間の巨大さも、またそこにいる敵の凶悪さも納得できるというものです。
 
 
本当なら天国を作りたかったのに、指輪の所持者(キングダムの術士=人間)の心が弱かったがため、善(天国)と悪(地獄)の両方を持つ世界ができてしまった、というわけですね。
  もしこれが、富豪の娘やクーンのような純粋な心の持ち主であれば、結果は違ったかもしれません。
 
今回のメイレンも「心が弱く暴走してしまった黒の指輪」という意味では状況が似ていますから、
もしかしたら今回も一歩間違えばマジックキングダムの再現、まさに地獄のような展開となっていたかもしれません……。