アセルス編 妖魔貴族の考察(2)

【金獅子姫】 最も勇敢な寵姫

オルロワージュの44番目の寵姫。
もちろん、「44」は「獅子」のごろ合わせです。
  ちなみに白薔薇は「46」(白)番目の姫ですね。

ゲーム中に登場する針の城の住人の中では唯一、最後までオルロワージュに忠誠を誓い続けた人物です。
  他の妖魔たちは何だかんだでみんなオルロワージュを裏切っていますからね。
  オルロワ、どんだけカリスマないんだっていうw 全てを魅了する妖魔の王じゃなかったのかとw

本編中では語られていませんが、アセルス編担当スタッフの初期案によると、
金獅子はオルロワ自身が望んで寵姫にした女性ではありません。
ある国の王(人間)が、オルロワへの臣従を望んだ際に、その証として自分の娘(つまり王女)をオルロワへの生贄(人質)に差し出しました。
この、生贄にされた王女がこの金獅子です。

オルロワ自身が望んだ寵姫ではないため、金獅子姫には常に「自分はオルロワージュに必要とされていないのではないか?」という不安があるといいます。
その不安があるからこそ、金獅子姫はオルロワージュに対して誰よりも深い忠誠心を見せ、彼のために犠牲になることすら厭わないのです。
全てはオルロワージュに愛されたいがゆえ。
そして愛されないなら、せめて頼れる戦士でありたい、と。
 
サガフロファンに聞く「仲間にならないけど仲間にしたかったキャラ No.1」の人だと思いますねw


金獅子 「目が覚めたら、城に誰もいないんですけど、どうしたんですか? (~ー~;) 」

オルロワ 「みんな、どっか行っちゃった… (´・ω・`) なんで…?」

金獅子 (もう駄目だ。私が何とかしないと――! (;ノェノ)ぷるぷる )
 
 

【セアト】 最も悲しい妖魔

針の城でオルロワージュに仕える妖魔貴族の1人。
いわゆるイルドゥンやラスタバンの同僚という立場にいる人です。

アセルス編のストーリーでは、アセルスに対してイヤミを言ったり、イルドゥンの足を引っ張ろうとしてオルロワージュに叱責されたり、ラスタバンの策略にまんまとハマったりなど“小悪党”っぽい役回りになる場面が多いのですが、

実際のところ針の城ではイルドゥンと肩を並べる実力者なのだと思われます。
逃亡したアセルス(白薔薇)の追討を任されていますし、その際、全ての決定権をオルロワージュから一任されていますしね。
配下の従騎士も含め、オルロワージュの軍事面を支える重臣であることは想像に難くありません。

冒頭からラストまでアセルスの敵として行動していることもあり、
ある意味セアトこそアセルス編の裏の主人公と言っても過言ではないでしょう。(過言かも)

しかし、ストーリー中でのセアトの行動には一見して不思議なところがあると思います。
わざわざアセルスを逃がしたかと思えば、部下に追いかけさせて殺そうとしたり、かと思えばアセルスの血を吸ってパワーアップしようとしたり。
アセルスの血を吸いたいなら、部下に任せず自分で行くべきですし、そもそもアセルスには城にいてもらったほうが血を奪うチャンスが多かったはずです。
また、冒頭ではオルロワの忠実な部下だったのに、ラストではアセルスの血でオルロワを超えようとしたりもしています。

不思議です。

これは、ストーリー展開と共にセアトの行動目的も少しずつ変化していたためです。

ストーリー冒頭では、彼はオルロワージュの配下として出世することを望んでいました。
このときセアトの目的はライバルであるイルドゥンを失脚させることであり、
アセルスはあくまでただの「半妖」、出来損ない程度にしか認識していなかったでしょう。
出来損ないのアセルスは針の城から追い出せれば十分で、そしてその責任をイルドゥンになすりつけて彼を失脚させることこそ彼の狙いだったのです。

しかし、セアトの思惑を超えて、アセルスは白薔薇も連れて逃亡してしまいました。
これは確かにイルドゥンを失脚させる絶好のネタになったのですが、オルロワは白薔薇を連れ戻すことを優先してしまったため、イルドゥンへの処罰は後回しにされてしまいます。

そしてセアトはアセルス(白薔薇)の追跡を任されました。
白薔薇を連れ戻せば、セアトは出世、イルドゥンは先の失敗のために失脚するという、セアトにとって最高の結果になることは明らかです。
ここでセアトは白薔薇奪還のついでにアセルスを部下に殺させようとします。
これは恐らく白薔薇をそそのかしたアセルスを殺すことで、オルロワージュからの評価をさらに稼ごうと思ったか、
あるいは「白薔薇がアセルスと一緒に逃げた=アセルスの魅力はオルロワを上回るのでは!?」と、単なる半妖と思っていたアセルスに想像以上の妖力があると気付き、後の憂いを断つために殺すべきだと思ったのかもしれません。
なんだかんだでアセルスとオルロワは血を分けた父娘のようなもの、アセルスがいつ針の城に戻ってこないとも限りませんし、アセルスが戻ってくればオルロワは彼女を特別扱いして自分の配下に加えるでしょう。
セアトにとって成長したアセルスは自分の地位を脅かす存在になりかねないのです。

しかし、配下の従騎士たちはことごとく返り討ち。セアトはアセルスが彼の予想を遥かに超えて強くなっていることを知ります。
さらにここでラスタバンが策謀を抱えて密かに動き出しました。
ラスタバンがセアトに何を言ったのかは分かりませんが、ラスタバンはセアトを挑発し、わざとセアトに倒されます。
セアトは倒したラスタバンの力(血)を奪ってパワーアップ。
セアトはもともと知っていたのか、それともこのとき初めて知ったのか、とにかく「血を奪えば強くなれる」というアイデアが彼の脳内に芽生えるのでした。

そこで今度はセアト自身がアセルスの討伐に赴き、アセルスの力を奪おうとします。
その結果、部下同様に彼も返り討ちにされてしまったわけです。
 
サガフロの妖魔は中世ヨーロッパの貴族のような世界観を作っていることで有名ですが、
その中でもセアトこそがその世界観を表わしたキャラクターだと思いますね。
妖魔世界に最も良く馴染み、最も懸命に生き抜こうとし、しかしアセルスという異分子の訪れに抗えず死んでいった。
アセルス編において最も悲しい妖魔は、このセアトではないかと私は思います。

セアト 「 ( ノ~ 3~)ノ ちゅ~、吸わせろ~ 」

「こういうネタにされちゃうあたりも悲しい人だね (~ー~;) 」 アセルス


【従騎士3人組】 森の従騎士はセアトより強い

セアトの部下である従騎士。
炎・水・森の従騎士がそれぞれ順番に針の城からの追手としてアセルスに襲いかかります。

この3人の中で、炎・水は大した強さではありませんが、森だけがやけに強いw
特に直接攻撃すると“混乱”の状態異常で反撃してくる「カウンターフィアー」がスゴイ邪魔!w

ぶっちゃけ上司であるセアトより強いです。
なんでこんな強い奴がセアトの部下なんかに甘んじているんだ……?

――と、思ったら、 そう、上級妖魔には“混乱”など精神系の状態異常が効かないんですよw

妖魔同士が一対一で決闘やるぶんには「カウンターフィアー」って全然役立たずw
妖魔世界にいる限り、誰も森の従騎士の強さに気付かないし、森本人も自分が強いことに気付いて無かったと思うw

森の従騎士 「ついでに「死人ゴケ」(バーサーカーの状態異常)も妖魔には効きません (TT) 」
 

【ラスタバン】 眉間が険しくないのは、心に険しい“しわ”があるから

イルドゥン、セアトと共にオルロワージュに仕える妖魔貴族。

アセルス編担当スタッフの初期案によると、セアト・イルドゥンは上級妖魔、
ラスタバンはそれより少し力の劣る中級妖魔、ということになっていたようです。
まぁ、製品版では3人ともほぼ同格のような感じですけどね (~▽~*)

ストーリー冒頭では、比較的アセルスに協力的な人物として登場します。
セアトやイルドゥンなどは半妖のアセルスに対してやや見下すようなところがありますが、ラスタバンは物腰も丁寧でアセルスに対して敬意をもって接してくれます。
そんな彼をアセルスは「眉間にしわのない妖魔」と評しました。
  私的にはこの表現が結構好きです。 セアト・イルドゥンのしかめっ面が目に浮かぶのでw

しかし、実は彼こそがこの物語の真の黒幕でした。


恐らくラスタバンは事故によってアセルスが半妖になった瞬間から、アセルスを妖魔世界の新たな王とする思惑を持っていたのではないでしょうか。

妖魔の力は持って生まれた“血の力”。
オルロワージュの一強独裁の妖魔社会を崩すには、やはりオルロワージュの血を持つアセルスでなければできないことなのです。
  まずそもそもオルロワージュの血を持っていなければ、彼の前に立つだけで魅了されて配下に
  なってしまいますからね。

アセルスが針の城を逃亡してしまったことはある種の誤算であったかもしれませんが、
一方で、セアトの部下が追手としてアセルスの命を狙っても、ラスタバンは特にアセルスを助けようとはしていません。
「外で野垂れ死にするなら、しょせんその程度の実力」と、彼自身、アセルスの力を見る良い機会だと思っていたのでしょう。

そして、アセルスは見事にセアト配下の従騎士3人を退けます。
ここでラスタバンはアセルスの実力を認めると共に、
また、ここに至って白薔薇が針の城に戻ってこない(=白薔薇は自分の意思でオルロワージュよりもアセルスの傍にいることを選んでいる)ことから推察し、アセルスの魅力(妖魔の力)がオルロワージュに匹敵するほどになっていると確信するのでした。

そこで、いよいよラスタバンは自ら動き出します。
まず、

ラスタバン 「アセルス様を倒して彼女の血を吸えば、
オルロワージュ様より強くなれると思うけど、
そんな恐ろしい真似はさせないぞ、セアトー! ヽ(~□~)ノ 」

と、巧みな演技力によってアホのセアトを挑発。
セアトはまんまと口車に乗って自らアセルスの討伐へと出かけてしまうのでした。

もちろんこれは、セアトをオルロワージュの傍から引き離す作戦でしょう。
この時点で既にアセルスの力はセアトを上回っていると、ラスタバンは分かっていたはずです。

ついでに、ラスタバン自身もセアトとの戦いで重傷を負ったかのように見せ、

ラスタバン 「痛い! 痛たたた…!
なんかもう、足とか膝とかお腹とか全部痛いから、
イルドゥン、私の代わりにアセルスちゃんとこ行ってきて」

と、迫真の演技によってイルドゥンを説得。
もしかしたら、「セアトはアセルスの血で、オルロワージュ様を倒そうとしている」なんてことも言ったのかもしれません。
イルドゥンはまんまと口車に乗せられて、アセルスの救助へ向かいます。

  眉間にしわがある妖魔はみんなアホなんでしょうか?(暴言w

これで、イルドゥンも針の城からいなくなりました。
もはや城にいるのは眠っている寵姫たちを除けば自分とオルロワージュだけ。

セアトは恐らくアセルスに倒されるでしょうし、
イルドゥンもアセルスの傍に長くいれば白薔薇と同じようにアセルスの魅力に魅了されて彼女の味方になることでしょう。

こうしてラスタバンはオルロワージュをほぼ孤立させることに成功したのです。 やったゼ!

そして、ラスタバンはアセルスが針の城に戻ってくる日を待ち続けます。
執念深い性格のオルロワージュはアセルスへの追跡を絶対にやめることはないでしょうし、
アセルスもずっと逃げてばかりはいられない。
アセルスとオルロワージュ、妖魔の血で結ばれた絆を断つために、アセルスは必ず針の城に戻ってくるとラスタバンは考えていたことでしょう。

オルロワージュが強引に白薔薇とアセルスの間を引き裂き、アセルスの怒りを買ったことはラスタバンにとって願ったり叶ったりだったと思います。

そして、ラスタバンはジーナを誘拐・監禁。
  ゲーム中ではジーナはめっちゃ脇役なので、こんな娘を誘拐して何の意味があるの?
  って感じなのですがw、
  一応、初期の設定案ではジーナはちゃんとアセルスの大切な友人という立ち位置です。

ジーナ誘拐の嫌疑をオルロワージュに擦り付けようとしたのか、
あるいは決戦に挑むアセルスが優しいジーナと出会うことで、その決意が揺らぐのを避けたかったのかもしれません。

その後、エンディングルートによってはアセルスにラスタバンの計画を暴かれたりするのですが、
少なくともアセルス編はほぼ全編にわたってラスタバンの計画通りにストーリーが動いていたと言えるでしょうね。

いやはや、まったくとんでもない策士ですよ (~▽~;)


ただ一つ分からないのは、
「結局、ラスタバンってアセルスを王様にして何がしたかったの?」ってことですねw

妖魔エンドの様子を見るに、アセルスが完全に妖魔として目覚めちゃうのはお気に召さないらしいし、いったい何のためにあんなに色々策謀を巡らせて頑張ってたんでしょう?w

ラスタバン 「ただやりたかっただけ (~▽~*) 」



【オルロワさん】 「できちゃった血痕で生まれた娘です」

妖魔世界に君臨する最強の妖魔。
妖魔はもともと美貌に優れ、また格の高い妖魔は格の低い妖魔を消しさることができますが、
オルロワージュの場合は妖魔としての力があまりにも強いので、その美貌はあらゆるものを魅了するカリスマであり、力は心に思うだけで相手を消滅させるほどのものになっています。

ファシナトゥールはオルロワージュの一強であり、独裁。

――の、はずだったのですが!

なんかよくよく考えてみると、オルロワさんって別に何も悪いことしてないよね (~▽~;)
悪いのは全部ラスタバンの策略だったわけだしw

アセルスに人間やめさせてしまったのは、まぁ、オルロワの交通事故が原因と言えば原因なのだけど、
でも命が助かったのもオルロワのお陰でもあるわけだし。

針の城で目覚めたアセルスが、

「これからは妖魔として生きていきます。よろしくね、お父さま(~▽~*)きゃぴ♪」

って、言っておけば何も問題は起きなかったw (もちろん最初は混乱もするだろうけど)

まぁ、でも妖魔エンディングのルートでオルロワとのラストバトルに挑んだとき、
オルロワは妖魔の力を身に付けて帰ってきたアセルスを見てとても嬉しそうだった。

オルロワ的にも、自分一人だけケタ違いに強い妖魔世界(=何でも自分の思いどおり。誰も逆らわない)は退屈だったのだろうね。
きっと零姫を追い続けていたのも、(もちろん執着心もあるだろうけど)零姫が自分に逆らい続ける存在だから追いかけていたのだろう。

仮にここで零姫が、「やっぱりわらわが悪かったのじゃ。そなたの寵姫に戻してたも…」とか、しおらしいことを言って戻ってきたら、その瞬間もうオルロワの興味は一気に消

オルロワさん 「良いよー! (。+・`ω・´) おかえり、零姫たん!」

「やっぱお父さまって呼びたくないわー (~▽~;) 」 アセルス
「わらわもやっぱり戻りたくないのじゃ… (~へ~;) 」 零姫